マレーシアとフィリピンの大学留学を比較|費用や教育の質の違い
⌚ 2026年7月16日 公開(2026年7月20日 更新)
「海外の大学に進学したいけれど、欧米は学費が高すぎる……」と悩んでいませんか?近年、費用を抑えつつ英語で学位を取得できるアジア圏の大学留学が注目されています。中でも人気の高いマレーシアとフィリピンですが、教育制度や生活環境には大きな違いがあります。
この記事では、プロの視点から両国の大学留学を徹底比較し、あなたがどちらを選ぶべきかの判断材料を詳しく解説します。
この記事のまとめと要点

費用重視・最短で英語力を伸ばすなら「フィリピン」
フィリピンの大学留学は、圧倒的なコストパフォーマンスと、英語初心者でも馴染みやすい環境が最大のメリットです。 学費や生活費がマレーシアよりもさらに安く、大学入学前に語学学校でマンツーマンレッスンを受けることで、短期間で英語力を引き上げることが可能です。
正規学位・キャンパスライフ重視なら「マレーシア」
マレーシアの大学留学は、教育の質の高さと、欧米名門大学の学位を安価に取得できる「ツイニングプログラム」が魅力です。 多民族国家であるため、真の国際感覚を養うことができ、世界大学ランキングでも上位に食い込む大学が多数存在します。
比較早見表|学費・期間・治安・進路
| 比較項目 | マレーシア | フィリピン |
|---|---|---|
| 卒業までの期間 | 最短3年(学部による) | 原則4年 |
| 年間の学費目安 | 約60万〜150万円 | 約30万〜60万円 |
| 1ヶ月の生活費 | 約7万〜10万円 | 約5万〜8万円 |
| 授業の形式 | 講義・チュートリアル中心 | 講義中心(語学学校はマンツーマン) |
| 治安の良さ | 非常に良好(世界平和度指数上位) | 地域により注意が必要 |
| 主な進路 | 外資系企業、欧米大学への編入 | 日系・現地企業、米国への看護留学等 |
そもそも大学の「位置づけ」が違う
授業言語・教育制度の違い
マレーシアはかつてイギリスの植民地だった背景から、教育制度もイギリス式をベースにしています。 一方、フィリピンはアメリカの統治下にあったため、アメリカ式の教育制度が色濃く残っています。
マレーシアの教育
多民族国家のため、大学内の公用語は英語です。マレー系、中華系、インド系、そして世界中からの留学生が共に学ぶため、多様なアクセントや文化に触れることができます。
フィリピンの教育
公用語の一つである英語で授業が行われます。フィリピン人の英語はアメリカ英語に近く、発音が明瞭で聞き取りやすいのが特徴です。
卒業までにかかる年数の違い
マレーシアの大学は、多くの学部で卒業まで「3年」に設定されています。 これはイギリスの制度に準じているためで、一般教養を省き、1年目から専門科目を集中的に学びます。対して、フィリピンはアメリカ式のため、一般教養を含めた4年制が一般的です。
1年早く社会に出られる、あるいは修士課程に進める点はマレーシアの大きなメリットと言えるでしょう。
学費・生活費を徹底比較

大学の学費比較|国公立・私立の相場
両国とも、欧米諸国(年間300万〜500万円以上)と比較すると、学費は非常に安く抑えられます。
マレーシアの学費相場
- 私立大学: 年間60万〜120万円程度。
- 海外大学分校(モナッシュ等): 年間100万〜180万円程度。
フィリピンの学費相場
- 私立名門大学: 年間30万〜60万円程度。
- 国立大学: 年間10万〜20万円程度(ただし入学難易度は極めて高い)。
生活費比較|家賃・食費・交通費の実態
物価は両国とも日本より安いですが、フィリピンの方がより低コストで生活できます。
マレーシアの1ヶ月生活費
- 家賃(コンドミニアム): 約4万〜6万円(ジム・プール付きが一般的)。
- 食費・雑費: 約3万〜4万円。
フィリピンの1ヶ月生活費
- 家賃(寮またはコンド): 約3万〜5万円。
- 食費・雑費: 約2万〜3万円。
4年間トータル費用シミュレーション
マレーシアで3年、フィリピンで4年学んだ場合の概算比較です。
- マレーシア(3年間)総額: 約450万〜600万円
- フィリピン(4年間)総額: 約350万〜500万円
フィリピンの方が1年長く在籍しても、トータルの出費は抑えられる傾向にあります。
フィリピン 大学 正規留学 費用 については、こちらの記事で詳しく説明しています。
教育の質・カリキュラムを比較する
世界大学ランキングでの位置づけ
大学の「格」や「研究力」を重視する場合、マレーシアに軍配が上がります。
マレーシアのランクイン大学
QS世界大学ランキング2025において、マレーシア大学(UM)が60位、テイラーズ大学が251位など、上位に多くの大学がランクインしています。
(参考:https://www.topuniversities.com/world-university-rankings)
フィリピンのランクイン大学
フィリピン大学(UP)が334位、アテネオ・デ・マニラ大学が516位となっており、国内トップ層の大学が世界的に評価されています。
デュアルディグリー等、提携プログラムの充実度
マレーシア留学の最大の武器は「ツイニングプログラム」や「デュアルディグリー」です。 デュアルディグリーとは、マレーシアの大学を卒業する際、提携しているイギリスやオーストラリアの大学の学位も同時に取得できる制度です。フィリピンにはこうした大規模な提携制度はまだ少なく、マレーシア独自の強みとなっています。
学部・専攻の選択肢の広さ
マレーシアはビジネス、IT、ホスピタリティ、工学など、国際的に通用する学部が充実しています。フィリピンは看護学や医学、教育学といった分野に伝統的な強みを持っています。
クラス規模・面倒見の良さで比べる
マレーシア: 大規模な講義と、少人数のチュートリアル(対話型授業)を組み合わせる形式が多いです。
フィリピン: 大学の授業は講義形式が主ですが、入学前の語学研修でマンツーマンの指導を受けられるため、基礎固めがしやすい環境です。
入学条件・出願の流れを比較
必要な英語力の目安|IELTS・TOEFLスコア
マレーシアの大学進学には、一般的にIELTS 5.0〜6.5程度のスコアが求められます。 フィリピンの大学も同等の英語力が必要ですが、入学試験(独自の検定)を重視する傾向があり、スコアがなくても条件付きで入学できるケースがあります。
出願書類・入学時期の違い
マレーシア入学に必要な書類
- 高校の卒業証明書・成績証明書(英文)
- パスポート全ページのコピー
- IELTS/TOEFLのスコア証明書
- 健康診断書
フィリピン入学に必要な書類
- 高校の卒業証明書・成績証明書(英文・認証が必要な場合あり)
- 戸籍謄本(英文訳)
- 無犯罪証明書(学部による)
ファウンデーション/語学留学は必要?
マレーシアでは、日本の高校卒業後に「ファウンデーションコース(大学準備課程)」を1年間受講するのが一般的です。 一方、フィリピンでは大学付属の語学センターや、街中の語学学校で数ヶ月〜半年ほど英語を鍛えてから、直接大学の入学試験に挑むスタイルが多く見られます。
治安・生活環境・ビザ事情を比較
治安レベルの違い|世界平和度指数から見る
マレーシアは「世界平和度指数2024」で世界10位にランクインしており、アジアでもトップクラスの治安を誇ります。 フィリピンは地域差が激しく、マニラのBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)やケソン市の一部などは安全ですが、夜間の独り歩きには注意が必要です。
気候・物価・日本人の多さ
気候: 両国とも常夏の熱帯気候です。フィリピンには台風シーズンがありますが、マレーシア(特にクアラルンプール)は台風の影響をほとんど受けません。
日本人の多さ: マレーシアは移住先としても人気で、日本人が多く住んでいます。フィリピンは語学留学生は多いですが、正規の大学生としての日本人はまだ少数派です。
ビザの取りやすさ・滞在可能日数
両国とも学生ビザの取得が必要ですが、手続きは複雑です。 マレーシアは「EMGS」という公的機関がビザ申請を一括管理しており、オンラインで進捗を確認できます。 フィリピンは大学入学後に現地で観光ビザから学生ビザ(9F)へ切り替える手続きが一般的です。
卒業後の進路・就職状況を比較
現地での就職のしやすさ
マレーシアは外資系企業のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)拠点が多いため、多国籍な環境での就職チャンスがあります。 フィリピンもコールセンターやIT分野での雇用がありますが、給与水準はマレーシアの方が高い傾向にあります。
日本でのキャリアへの活かし方
「英語で専門科目を学んだ」という実績は、日本の就職活動でも高く評価されます。特にマレーシアでデュアルディグリーを取得していれば、欧米大学卒業と同等の扱いを受けることも可能です。
卒業生の実実績・母校ネットワークの強さ
フィリピンの名門大学(UPやアテネオ)は、政財界に強力なネットワークを持っています。マレーシアの大学は、アジア全域や中東からの留学生との繋がりができるため、将来的にアジアを股にかけて活躍したい人に有利です。
【目的別診断】あなたに合うのはマレーシア?フィリピン?

とにかく費用を抑えたい人
フィリピン: 学費・生活費ともに世界最安水準です。予算に限りがある場合はフィリピン一択と言えるでしょう。
英語力ゼロから鍛えたい人
フィリピン: 語学学校のマンツーマン授業で基礎を固めてから大学へ進むルートが、最も効率的で挫折しにくいです。
将来、欧米大学への編入を狙う人
マレーシア: 「1+2」や「2+1」といった、マレーシアで数年学び、最後に欧米の提携校へ編入して卒業するプログラムが非常に充実しています。
マレーシアの主要大学ラインナップ
サンウェイ大学|英国名門と直結する進学力
サンウェイ大学は、イギリスの名門ランカスター大学と提携しており、卒業時に両校の学位を取得できるのが最大の特徴です。 クアラルンプール近郊のサンウェイ・シティに位置し、治安や利便性も抜群です。
(参考:https://sunwayuniversity.edu.my/)
モナッシュ大学マレーシア校|豪州基準の教育の質
オーストラリアの「グループ・オブ・エイト(名門8大学)」の一角であるモナッシュ大学の直営分校です。 本校と同じカリキュラム、同じ学位をマレーシアの物価で取得できるため、非常に人気があります。
(参考:https://www.monash.edu.my/)
テイラーズ大学|ホスピタリティ教育に強み
ホスピタリティや観光学の分野で世界トップクラスの評価を受けている私立大学です。 キャンパスの設備が非常にモダンで、学生の満足度が高いことでも知られています。
(参考:https://university.taylors.edu.my/)
フィリピンの主要大学ラインナップ
フィリピン大学(UP)|国内最高峰の国立大学
フィリピンの東大とも呼ばれる、国内ナンバーワンの国立大学です。 入学試験の倍率は極めて高く、優秀な学生が集まります。学費が非常に安いのも魅力です。
(参考:https://up.edu.ph/)
アテネオ・デ・マニラ大学|歴代大統領を輩出する名門
カトリック系の私立大学で、フィリピンのリーダー層を多く輩出しています。 リベラルアーツ教育に定評があり、キャンパスの治安も非常に安定しています。
デ・ラサール大学|ビジネス教育で高評価
ビジネスや経済学、IT分野においてフィリピン屈指の実績を持つ私立大学です。 実業界との繋がりが強く、卒業後のキャリア形成に有利な環境が整っています。
サント・トマス大学|アジア最古のカトリック大学
1611年創立という、アジアで最も長い歴史を持つ大学の一つです。 医学や看護学の分野で非常に高い評価を得ており、歴史的な美しいキャンパスも特徴です。
よくある質問(Q&A)
留学エージェントはつかうべき?
はい、初めての大学留学であれば利用を強くおすすめします。 特にマレーシアやフィリピンの大学は、事務手続きが日本ほどスムーズではないケースが多いです。ビザ申請のミスを防ぎ、自分に合った大学を正確に選ぶためには、専門家のサポートが不可欠です。
英語力ゼロでも大学進学できる?
結論から言うと、そのままでは入学できませんが、道はあります。 フィリピンであれば、まず語学学校で半年〜1年集中して学び、その後に大学受験をするのが一般的です。マレーシアの場合は、大学付属 of 英語コース(IEP)からスタートし、規定のレベルに達した後に本科へ進む「条件付き入学」という制度があります。
「まずは自分の英語力でどの大学が狙えるか?」を知ることから始めてみましょう。



