【フィリピンの大学の進学率は?】留学のポイントも合わせて紹介
どの国においても学校教育が大切なのは言うまでもありません。
大学進学率を見ることで、その国の将来性がわかるとすら指摘する専門家も存在します。
特にフィリピンなど途上国では、大学進学率があまり高くありません。
しかしフィリピンの経済成長などを見ると、これから発展しそうな雰囲気があるうえに、実際に「国を発展させたい」といった目的で勉強する現地の学生も多いです。
大学進学率が低くてもそのぶんモチベーションが高い学生が多く、そのような国に留学すると勉強に集中することが可能です。
そこでこの記事では、
- フィリピンにおける大学進学率
- フィリピンの大学進学率が低い理由
- フィリピンの大学や学生の数
- フィリピンの教育制度
- フィリピンの大学に進学した日本人の感想
- フィリピンの大学に進学するときの注意点
を順に解説します。
あまり知られていないフィリピンの教育についてお伝えします。
世界と比較!フィリピンにおける大学の進学率は35% !
ユネスコ (UNESCO)が調査した「世界大学進学率の国別比較統計ランキング」によると、2018年におけるフィリピンの大学進学率は35.48%でした。
【出展】Global Note「世界の大学進学率 国際比較」
世界のランキングでフィリピンは第85位と、決して高いとはいえません。
次はこの進学率を、他の国と比べてみましょう。
フィリピンの大学進学率を他の国と比較
ユネスコのデータによると、日本の大学進学率は63.58%で第44位でした。
つまり、フィリピンの大学進学率は日本と比べると2倍ほどの差があることになります。
以下の表は日本を含む主要な先進国、そして東南アジアにある国々の大学進学率ランキングです。
2位 | オーストラリア | 113.14% |
5位 | 韓国 | 94.35% |
11位 | アメリカ合衆国 | 88.17% |
17位 | シンガポール | 84.79% |
26位 | 香港 | 76.92% |
31位 | ドイツ | 70.25% |
44位 | 日本 | 63.58% |
50位 | イギリス | 60.00% |
52位 | スイス | 59.56% |
62位 | 中国 | 50.60% |
64位 | タイ | 49.29% |
70位 | マレーシア | 45.13% |
85位 | フィリピン | 35.48% |
94位 | ベトナム | 28.54% |
【出展】Global Note「世界の大学進学率 国際比較」
アジアの中では韓国が学歴社会であるために、大学進学率も非常に高くなっています。
オーストラリアの進学率が100%を超えている理由は、海外からの留学生が含まれているからです。
つまりオーストラリアの大学では、大学入学適齢期である18歳前後のオーストラリア人よりも、外国人を含めた全体の入学者の方が多くなる現象が起こります。
そのため進学率も、適齢期の人口である100%を超えてしまうのです。
上記のデータのように、フィリピンは世界的に見ても大学進学率があまり高くありません。
次でその理由を詳しくお伝えしますね。
フィリピンの大学進学率が低い2つの理由
ここではフィリピンの大学進学率が低い理由として、
- 経済的に厳しい家庭が多いから
- 親が大学進学の必要性を感じていないから
の2つを解説します。
進学率が低い理由1:経済的な理由から学業を断念せざるを得ない
フィリピンにある公立学校の授業料はすべて無償です。
しかし授業料がかからないとはいえ、制服や文房具、教科書などは自己負担となります。
また学校によっては特別設備を購入するために、寄付金などを請求することも。
フィリピンは低所得層の家庭が多いので、通学にかかる費用も負担になりかねません。
これらの学費以外の細かな費用を支払う経済力がないため、子供は学業を断念せざるを得ないことが多いです。
フィリピン国内でも特に雇用が不安定な地域では、親が失業すると子供は学校に通うことができません。
ほぼ自動的に、学校からドロップアウトしてしまいます。
進学率が低い理由2:親が大学進学の必要性を感じていない
日本や韓国は学歴を重視する社会なので、「とりあえず大学を卒業しておくべきだ」と考える保護者の方が多いかと思います。
有名な会社に入るのも良い結婚相手を見つけるのも、学歴を重視する風潮は今も残っているのが現状です。
対してフィリピンは、日本のような学歴社会ではありません。
さらには「子供は家業を手伝って、家計を助けるべきだ」などの慣習もあり、親は子供を家で働かせることもあります。
実際に保護者の中でも、小さい頃は家の仕事を手伝うために学校に通っていなかった人が多いです。
自分が学校に通っていないために勉強の必要性を実感しにくく、自分の子供も学校に通わせないことを選択する人があとを絶ちません。
そしてこの貧困などは、大学生が選ぶ進学先にも関係しています。
次で詳しく紹介しますね。
【種類別】フィリピンにおける大学や学生の数
フィリピン政府の調査によると、フィリピンにおける大学の数は以下のように変化しています。
【出展】GOVPH「Higher Education Indicators 2019」
つまり、日本語でまとめると以下のようになります。
2016〜2017 | 2017〜2018 | 2018〜2019 | |
公立 | 233 | 233 | 242 |
私立 | 1,710 | 1,673 | 1,721 |
合計 | 2,396 | 2,353 | 2,393 |
フィリピンでは公立の大学よりも、私立の大学の方が多いようですね。
ちなみに日本にある大学の数は、2020年2月時点で782校です。
このデータから、フィリピンはいかに大学の数が多い国なのか、イメージしてもらえるかと思います。
【出展】ナレッジステーション「大学 都道府県別学校数(平成30年度学校基本調査)」
フィリピンにおける大学生の数
では次は、フィリピンにはどのくらいの大学生がいるのか見ていきましょう。
【出展】GOVPH「Higher Education Indicators 2019」
分かりやすくまとめると、以下の通りです。
2016〜2017 | 2017〜2018 | 2018〜2019 | |
公立 | 1,641,607 | 1,385,458 | 1,519,512 |
私立 | 1,947,877 | 1,596,345 | 1,693,030 |
合計 | 3,589,484 | 2,981,803 | 3,212,542 |
2017年度に一度減少していますが、2018年度には回復しています。
先ほど学校の数は私立の方が多くありましたが、在籍生徒数に大きな差はありません。
学校の数は私立の方が少し多いものの、進学先は公立を選ぶ学生も多いようです。
公立の大学が人気の理由は「所得の低さ」
この進学先には、先ほどお伝えした「経済的な理由」が関係しています。
経済産業省が調査したフィリピンの世帯所得分布を見ると、以下のような結果が明らかになっています。
【フィリピンにおける世帯所得分布】
【出展】経済産業省「医療国際展開カントリーレポート新興国等のヘルスケア市場環境に関する基本情報フィリピン編」
上記を見ると、年収が109万〜381万円ほどの世帯が多いことが分かります。
これは月収に換算すると、およそ9万〜31万円ほど。
フィリピンは物価が安いので生活は十分できますが、決して高いとはいえません。
さらには全体を見るとそれより低い世帯が多いぶん、学費の安い公立校が人気となるようです。
次はフィリピンの教育制度を詳しく紹介します。
【フィリピンの教育制度】日本との違いは?
実はフィリピンの教育制度は、日本と大きく異なります。
各学校に進学する年齢を見ると、以下の通りです。
【出展】ユネスコ「Philippines」
つまり、以下のようになります。
年齢 | |
幼稚園 | 5歳 |
小学校 | 6〜11歳 |
中学校(高校) |
12〜17歳 |
大学 | 18〜22歳 |
フィリピンでは5歳から17歳までの13年間を「義務教育」としています。
日本よりも義務教育の期間が長いですよね。
そして実はフィリピンには、日本でいう「高等学校」がありません。
そのぶん中学校が6年間と長く、その間に日本人が高校で学ぶような授業をすべて終了します。
またフィリピンでは大学に入学するのは、18歳になるとき。
つまり、大学に入学するのが日本人よりも1年早くなるのです。
もしも日本人がフィリピンの大学に現役で進学したら、ひとつ下の年齢の学生と同学年になります。
このように教育システムが異なると、実際に通ったときの感覚も違いそうで、イメージがつかみづらいですよね。
そこで次は、実際にフィリピンの大学に進学した日本人の体験談や感想を見ていきましょう。
フィリピンの大学へ進学した日本人の声を紹介
フィリピンの大学に留学した日本人は、フィリピンの大学留学についてどのように感じたのでしょうか。
そこでここからは、実際に留学した人の体験談や感想を5つ紹介します。
体験1:現地の人と知り合い、フィリピンの文化により精通できる
フィリピンの大学に留学すると自然と長期留学になるので、地元のフィリピン人と同じようなライフスタイルを送ることになります。
学校に通うこともあり、自然とフィリピン人の知り合いが多くなります。
もちろん1週間や1ヶ月の短期語学留学でも、フィリピン人と友達になるチャンスがないわけではありません。
しかし大学留学の方がフィリピン人の友達と一緒に過ごす時間は長くなるので、より仲良くなりやすいです。
地元の人と知り合うことで、現地事情に詳しくなることも少なくありません。
さらにはフィリピン文化を体験できるなど、フィリピンの人と文化に精通することが可能です。
体験2:専門的な知識を英語で学べる
フィリピン留学の中でも大学留学は、専門知識を英語で学ぶことができます。
多くの日本人は海外留学と聞くと、アメリカやイギリスなどの欧米諸国をイメージするかと思います。
しかし「英語力を生かして今後のキャリアに役立てたい」という目的であれば、先進国にこだわる必要はありません。
フィリピンでは多くの人が英語を話します。
フィリピンの大学でも、英語でディスカッションをしたり卒論を書いたりすることが多いので、英語で専門知識を勉強する目的は達成できます。
日本の就活市場では、専門スキルを外国に向けて発信できるスキルが高く評価されています。
フィリピンの大学であれば、英語力と専門性の両方を同時に獲得できます。
体験3:学費がかなり安くて、留学費用もおさえられた
海外留学を希望しても、アメリカなど欧米への留学を断念する人があとを絶ちません。
その理由で最も多いのが「留学費用が高すぎる」など金銭面です。
日本における大学の学費は、先進国の中でも高いといわれています。
しかしアメリカやイギリスなど海外の大学は、それ以上に高額。
私立大学となると、年間で200〜300万円かかることも少なくありません。
対してフィリピンは国立大学であれば、学費は年間10万円〜15万円と低価格です。
さらにフィリピンは食費や滞在費なども安いので、留学コストを全体的に下げることが可能です。
体験4:高い英語力がないと授業についていくのが難しい
フィリピンに限ったことではありませんが、留学先での授業についていけず、困っている日本人は少なくありません。
純粋に学んでいる内容が難しい場合もありますが、やはりコミュニケーションの基礎となる語学の土台がないことがほとんど。
専門用語などが多い大学の授業は、高い英語力がなければ専門知識を自分のものとして吸収することは難しいです。
フィリピンでの留学生活が始まってから「英語力が足りない…」と頑張るのでは、正直遅いです。
専門分野を学ぶのであれば、可能な限り留学前に日本で英語力を上げておくことを意識してみてください。
目安として、留学までにTOEIC800点以上のスコアを目指すのがおすすめです。
体験5:ネイティブスピーカーは少ない
フィリピンはアメリカやイギリスのような、英語を母国語とする「ネイティブスピーカー」の国ではありません。
確かにフィリピンは英語が公用語の国あり、大学の授業もほとんど英語で進められます。
そしてフィリピン人は、幼少期からアメリカのテレビ番組やアニメに親しんでいるため、英語を理解する能力には優れています。
しかしフィリピン人同士では「フィリピン語(タガログ語)」で会話をすることが多く、常に英語で話しているわけではありません。
また英語でもフィリピン語の混じった「フィリピンなまり」が見られることもあります。
フィリピンで純粋な英語でやり取りをするのは難しく、なまりに悩まされる可能性もあります。
どうしてもネイティブの英語に強いこだわりがある場合は、他の地域への留学が向いているかもしれません。
フィリピンの大学に留学するときの注意点4つ
ここまでフィリピンでの大学進学率や就学率について説明してきました。
フィリピンの教育状況を踏まえた上で、私たち日本人がフィリピンの大学で学びたいと考えた場合、どのようなことに気を付ける必要があるのでしょうか。
ここからは、フィリピンの大学に留学するときに重要なポイントを4つ紹介します。
ポイント1:フィリピンの文化や歴史はある程度調べておく
短期留学や大学留学で快適に生活するためには、留学先の文化をある程度理解しておきましょう。
日本の文化では良いと思われていることでも、海外では「失礼」などと受け取られることがあります。
もちろん最初からすべてを理解することはできませんが、相手の文化を尊重する姿勢があると、不要なトラブルに遭うことは少なくなります。
時間に余裕がある人は、フィリピンの歴史を学んでみてください。
あなたがフィリピンの歴史を知っていれば、地元の人も好感を持って接してくれるはずです。
ポイント2:英語初心者はまず「ESL」から受ける
日本で英語を話せる環境があれば良いですが、残念ながら現在の日本でそのような状況はなかなかありません。
日本語だけで生活できるので、ほとんどの人は日本にいて英語を使う必要がないです。
そのため英語初心者や日本語だけで生活してきた人にとって、フィリピンの大学でいきなり英語の授業を受けるのはほぼ不可能です。
大学の授業をしっかりと理解するためには、「ESL (English as a Second Language) 」という授業の受講を検討してみてください。
これは非ネイティブのために用意された大学付属の語学学校のこと。
ESLの先生は英語の教授法を心得ているので、日本人を含めた非ネイティブの人が学びやすい方法で教えてくれます。
短期間であっても大学入学前にフィリピンで生活することで、留学したときのイメージを具体化させることも可能です。
ポイント3:書類などは早めに用意する
フィリピンの大学に入学や編入をする場合、成績証明書や残高証明書、志望理由書など、多くの書類提出が必要になります。
そして基本的に、提出する書類はすべて英語です。
慣れない英語の書類を用意するのは、なかなかスムーズに進みません。
前もって書類を用意しておくなど、早めの準備を心がけましょう。
英語に苦手意識がある場合は、エージェントに手続きをすべてお願いするのがおすすめです。
いずれにせよ時間のかかる作業ですので、フィリピンの志望校が決まったらすぐに準備を始めましょう。
ポイント4:留学の目的をしっかりと定める
あなたが海外で勉強したい理由はなんでしょうか?
「将来はグローバルに活躍したい」「英語力をつけて、就職活動で差をつける」などでしょうか?
このように留学の目的をしっかりと定めておくことは、留学の成功には欠かせません。
目的があることでモチベーションアップにつながる、ゴールである目的を達成するための行動を逆算して考えられるからです。
特に1年以上の長期留学をする方は、もう一歩踏み込んで「なぜフィリピンなのか」「なぜその大学なのか」を考えてみるのがおすすめです。
フィリピンは、大学の進学率が日本と比べて低いです。
限られた人しか大学で勉強できないため、フィリピン人の学生は非常に勉強熱心です。
外国人としてフィリピンの大学に留学をするあなたが、モチベーションの高い現地学生と同じクラスで学ぶためには、同様に強い意思が必要です。
留学前や準備を始める前に、「なぜ留学したいのか?」を考えてみましょう。
ブレない目的があることで、あなたのフィリピンでの大学生活はより充実するはずです。
フィリピンの大学留学については、こちらの記事も参考にしてみてください。
海外大学に留学するならフィリピンの大学に留学しませんか?詳細はこちらをご覧ください!
まとめ:フィリピンの大学進学率は低いけれど、モチベーションの高まる環境がある!
今回の記事は、フィリピンの大学進学率から進学する人が少ない理由、フィリピンの教育制度などを解説しました。
フィリピンは発展途上国なので、学校教育が完全に普及しているとはいえません。
実際に小学校から大学まで行くことができるのは、中流階級以上の恵まれた家庭に限られます。
勉強の必要性もまだまだ浸透していないかもしれませんが、日本人が留学生としてフィリピンの大学で学ぶには、「モチベーションの高い学生が多いので刺激を受ける」など多くのメリットが存在します。
このページを通して、フィリピンにおける教育の現状を少しでも理解していただけたら幸いです。
フィリピンの大学進学についてはこちらの記事も合わせてご覧ください。
【完全版】フィリピン大学進学がオススメな理由!
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