フィリピン国内の最新情勢(テロ、犯罪、経済など)を徹底解説
美しい海や多くのリゾートをもつフィリピン。
英語の短期留学先としても人気で、年間を通して多くの日本人が渡航しています。
首都のマニラやセブ島のビーチなどは観光地化されており、比較的旅行も快適ですが、一部の地域ではテロや凶悪犯罪の温床となっており油断できません。
そこでこの記事では、2020年のフィリピンの情勢をまとめました。
麻薬、テロリズム、そして経済の面からフィリピンの今を紹介します。
今後フィリピンを訪れる人のために、ご自身でできる防犯対策なども幾つか紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
2020年フィリピンの最新情勢は?
この章では、日本の外務省の情報を元にして、フィリピンの最新情報をまとめています。
外務省の「海外安全ホームページ」
外務省が管理をする海外安全ホームページでは、世界のすべての地域について「国および地域ごとの海外安全情報」が公開されています。
各区にに設置されている現地大使館、総領事館にもネットワークがありますので、フィリピンにかかわらず、世界の危険地域をリサーチするのには信頼できる情報です。
外務省では、海外の安全レベルを以下の4つに分類しています。
レベル1 十分注意してください。
レベル2 不要不急の渡航は止めてください。
レベル3 渡航は止めてください。(渡航中止勧告)
レベル4 退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)
(外務省「海外安全ホームページ」から引用)
マニラとセブは注意レベル
ではフィリピンの安全レベルを、外務省はどう判断しているのでしょうか。
フィリピンは南のミンダナオ島とパラワン島、その他小さな島々を除く大半がレベル1に指定されています。
危険レベルとしては最低レベルですので、「十分に注意していれば問題はない」とも言えるでしょう。
レベル1の地域は他にどこがあるかというと、ミャンマー、インドネシア、そしてカンボジアです。
これらの国に行かれたことがある方は、フィリピンのセブやマニラの安全度と比較をすることができますね。
フィリピンの治安については以下の記事もあわせてご確認ください。
【2020年版】フィリピンの治安は大丈夫?滞在中の注意点など徹底解説!
一部のミンダナオ地域に渡航中止勧告
ミンダナオ島は、フィリピンではルソン島に次いで、2番目に大きい島です
ミンダナオ島は留学先としても有名なダバオ市を抱えています。
ダバオの語学学校が襲われたという話は聞きませんし、語学学校自体はセキュリティーも問題はないでしょう。
しかしミンダナオ島西部は渡航中止勧告が出ていますので、絶対にいくべきではありません。
なぜミンダナオ島が危険なのかは、次の章で具体的に説明をしますが、一言でいうと「テロリストの巣窟」だからです。
過去にはカナダ人のグループが拉致され、殺害されたという事件も発生しています。
現場で感じたフィリピンの治安
筆者は旅行と語学学校でこれまで3度フィリピンに旅行した経験があります。その観点からフィリピンの治安について感じたことを述べたいと思います。
まず繰り返しになりますが、語学学校の中は非常に安全です。
セブやマニラの大型語学学校は、食事や宿舎が一体となっており、あまり外出をする必要がありません。
海外で最低限気をつけるべきことを気をつけていれば危ない目に会うことはありません。
勉強の疲れを癒すために、週末は外でお酒を飲んだりすることもあるでしょう。
夜の歓楽街には、それだけ多くの犯罪が潜んでいますので、一人での行動はなるべく避け、限度を超えてハメを外すことがないようにしてください。
一般的な危機管理意識さえ持っていれば、凶悪な犯罪に巻き込まれる確率は低いです。
フィリピンの情勢①:麻薬対策により治安は向上
フィリピンは慢性的に麻薬が普及しており、裏社会の大部分を牛耳っていました。
フィリピン危険薬物委員会が2015年に行った調査によると、国内で麻薬使用者として推計されている人は180万人で、なんと人口の1.7%にまで上っていました。
その中で2016年6月に登場したのが、デゥテルテ大統領です。
彼はフィリピンから麻薬を一掃させるべく、暴力的手段を使って麻薬使用者を摘発していきました。
「罪人(麻薬使用者)を殺しても罪には問わない」という強権的なやり方にもかかわらず、デゥテルテ政権を指示する人は相当数います。
麻薬の売人がいなくなったことにより、街がずっと安全になったと感じる市民もいるようです。
フィリピンの情勢②:軽犯罪に関して、フィリピンは欧米よりも少ない
留学先6ヶ国+日本の重犯罪発生率(人口10万人当たり) | ||
アメリカ | 殺人 | 5.2 |
強盗 | 141.8 | |
イギリス | 殺人 | 1.2 |
強盗 | 147.2 | |
カナダ | 殺人 | 1.7 |
強盗 | 97.1 | |
オーストラリア | 殺人 | 1.2 |
強盗 | 78.3 | |
ニュージーランド | 殺人 | 1.3 |
強盗 | 52.8 | |
フィリピン | 殺人 | 6.4 |
強盗 | 9.5 | |
日本 | 殺人 | 0.5 |
強盗 | 3.4 |
(出典:国連犯罪事務所、駐フィリピン日本国大使館)
この表をみると、フィリピンの殺人率は10万人当たりで6.4人でこの表では最も高いものの、強盗(軽犯罪)はアメリカやイギリスと比べても少ないです。
フィリピンの情勢③:テロに関する状況
先ほど紹介したミンダナオ島のテロ活動について、外務省の海外安全ホームページをまとめました。
まず、フィリピン国内で活動する主なテロリストは以下です。
・イスラム過激派組織であるアブ・サヤフ・グループ(ASG)
・マウテ・グループ,バンサモロ・イスラム自由運動/戦士団(BIFM/BIFF)
・共産党傘下の武装組織である新人民軍(NPA)
特に1番目のASGは、バシラン州,スールー州,サンボアンガ市などに拠点を有するイスラム過激派組織で、組織の中にはISIL(イスラム国)に忠誠を誓うグループも存在します。
イスラム国に関しては、フィリピン国内でのテロ行為の犯行声明を出しており、今後もASGに外国人戦闘員が流入する恐れが指摘されています。
フィリピンの情勢④:ドゥテルテ大統領の経済政策
麻薬取引の取り締まり以外にも、ドゥテルテ大統領が積極的に進めているのが、不動産投資です。
フィリピンの主要都市で、不動産を買う中国人が急増したことにより、マニラを含むルソン島、ビサヤ諸島、ミンダナオ諸島では好景気がもたらされています。
ドゥテルテ政権になってからは、フィリピンの1人当たりのGDP(国内総生産)が2017年に2891ドルとなり、過去最高を記録しました。
また購買力平価も7599ドルでこちらも過去最高、6%を下回ることがなかった失業率は5%まで下がってきています。
自分でできる防犯対策まとめ
ここまでフィリピンの情勢を見てきました。
麻薬や強盗、テロなどと言われるとかなり危ない印象を受けます。
しかし実際にはほとんどの日本人が、問題なく留学や旅行にいくことができています。
この章では、フィリピン滞在中で最低限これだけは気をつけてほしいことを6つの項目に分けてお伝えします。
海外に慣れている人にとっては「そんなの当たり前」と思うかもしれません。
海外が初めてだという人は、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
話しかけてくれる人を安易に信用しない
街中を歩いてて話しかけられる時には注意が必要です。
様々なシチュエーションが考えられるでしょう。
すべての人を信用してはいけないということではありませんが、頭の片隅で「この人はなぜ私に近づいてきたのか」を意識しておくことが大切です。
特に日本語で話してくるフィリピン人に出会うと、嬉しくなって心を開きがちです。
友達になったと思ったが実は犯罪に巻き込まれた、ということになる可能性もあるということを理解しておいてください。
ネックレスなど高価なものは付けない
日本はフィリピンと比べて、裕福な国です。
多くのフィリピン人は日本人の観光客をみると「お金持ちだな」と思います。
その状況の中で高価なネックレスや時計を身につけていると、犯人グループに狙われやすくなってしまいます。
ネックレスなどは追剝ぎをされると怪我をする可能性もあるので、特に注意が必要です。
予想以上に周りを刺激しないように心がけてください。
普段から複数人で行動するようにする
1人で歩くよりも、複数人で行動する方が、抑止力につながります。
窃盗グループからしたら、複数対複数よりも、1対複数の方がやりやすいはずです。
特に慣れない土地勘の中で1人で歩くことは、犯罪を誘発しかねません。
特に夜の時間帯は、暗い道などは歩かないようにしてください。
イヤフォンをつけて歩かない
日本では多くの人がイヤフォンをつけて歩いていますが、外国ではなるべく避けてください。
音で気づけることも多くあるはずです。
イヤフォンで音楽を聴きながら歩いていて、突然後ろから襲われたなどといったことも防ぐことができます。
荷物を置いたままにして席を立たない
カフェやレストランで荷物を座席に置いて席を離れるのは、フィリピンに限らず海外では控えてください。
日本では座席を確保しているという意味ですが、海外では「どうぞ自分の荷物を持って行ってください」という意味になります。
日本の常識は海外での常識ではありません。
トイレなどでどうしても席を立たなければならない時は、必ず貴重品を持っていくようにしましょう。
まとめ:フィリピン国内の最新情勢を徹底解説
このページではフィリピン国内の治安や情勢についてまとめてきましたが、いかがでしたでしょうか。
フィリピンにはこれまで3度渡航している筆者ですが、特に危ない目に遭った記憶はありません。
最低限のことに気をつけて、自らリスクを冒すようなことをしなければ、問題はありません。
しかし中にはミンダナオ島など、外務省が渡航を控えるよう促している地域もあります。
万が一ビジネスや旅行で訪れる際は、このページで紹介した防犯対策を意識して、ぜひ安全には気をつけてください。